株式の譲渡制限

posted by 2026.10.16

_会社を設立する際には定款(会社の憲法)を作成しますが、その中にこんな一文があります。

「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。」

”取締役会”のところは”株主総会”や”代表取締役”のこともありますが、いずれにしても会社の株式の売却を許可制にするものです。
この譲渡承認の仕組みは、会社にとって好ましくない人が株主になるのを防ぐために設けられています。
日本の企業の9割以上を占める中小かつ同族の企業において、この譲渡制限が採用されています。

 

_発行株式のすべてに譲渡制限を付けている会社を「非公開会社」と言います。
非公開というのは”上場していない”という意味ではなく、”株式を自由に売買できない”ことを指しています。
逆に自由に売買できる上場企業のような会社は「公開会社」と呼ばれます。

 

_ただし、公開会社であっても譲渡制限がつく場合があります。

• ロックアップ

企業の上場直後に大株主や経営陣が一定期間は市場で株を売却できないようにする契約。

• 譲渡制限付株式報酬(RS)

役員や従業員に報酬として配る株式で、「○年間は売却できない」「退職するまでは売却できない」といった条件をつけるもの。
RSというのは、Restricted(制限された)Stock(株式)の略です。

 

_退職型RSは、退職した際にこの制限が外れて、市場で売却することが可能になりますが、税務上は注意が必要です。
株式を売却した際には「譲渡所得」として儲けに20.315%が課税されますが、課税はこの時だけではありません。
売却時だけでなく、譲渡制限が解除されたタイミングでも税金がかかります。
在職中に株式を受け取った時には、まだメリットが実現していないので課税はありませんが、自由に売れるようになった時にメリットが実現して課税されます。
この場合、退職を起因としているため、「退職所得」としての税制上の特典が受けられます。
なお、退職時に一度課税されているので、売った場合の原価は譲渡制限解除時の株価になります。

 

_売る前だと何も得していないように感じますが、ストックオプションに似た仕組みであるRSでは譲渡制限が外れた段階でも税金がかかるので忘れずに申告するようにしましょう。

 

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