前回の続きで非上場株式の評価の何が問題になっているかを見ていきます。
2.会計検査院の指摘
① 原則的評価方式について
・令和2~3年の相続税、贈与税の申告から無作為に抽出して中央値で内容を検査
・類似業種比準価額は純資産価額の約27%と相当低い水準
・8割近くの類似業種比準価額が純資産価額の半分以下
・申告評価額/純資産価額の割合は、大会社32%、中会社50%、小会社61%で規模が大きいほど評価が低い
⇒事業承継しやすいように評価が下がるように通達が改正されてきた。
実態を踏まえておらず、課税の公平性が確保されていない。
② 配当還元方式
・配当の還元率(10%)が昭和39年から見直されていない
・配当/還元率で評価するので、金利が下がれば株の評価額は上がる
⇒当時に比べ金利は下がっているので、株価が相対的に低くなっている
3.国税庁の分析
① 実態把握
・令和4~5年の実績で検査しても会計検査院とほぼ同じ傾向
② 原因
・8割以上で配当が支払われておらず、それだけで類似が2/3になる
・株価に掛けるしんしゃく率(大会社0.7,中会社0.6、小会社0.5)の導入により類似が低くなっている
・純資産価額を回避する節税スキームが横行している
③ 節税スキームの例
・グループ法人税制を利用し、100%子会社へ資産を無償で移転して利益を圧縮(純資産価額が下がる)
・種類株式を利用し、少数の議決権あり株を後継者に移転、多数の無議決権株を配当還元方式が使える親族に移転(大幅に株価下がる配当還元で事業承継)
・多額の役員報酬で利益を圧縮、土地等の資産を役員個人で買って担保として利用(配当、利益、純資産の圧縮で類似が下がる)
節税スキームについては、極端かつ不自然なものはともかくとして、それ以外は通達の範囲内での節税なので、それをどうこう言われても、という気もします。
まとめと今後の方向性については次回に続きます。


